令和5年 第35問
遺言の方式に関する問題です。
(イ)では、
自筆証書遺言をカーボン紙による複写の方法で作成した場合でも、
自書の要件を満たすとされていました。
契約書などでもカーボン紙による複写は使われるため、
複写だから直ちに無効になるわけではなさそうだと思いました。
一方、(ウ)では、
夫婦は同じ証書によって遺言をすることができないと書かれていました。
遺言は一人ひとりが別に作りそう。
遺言は、その人が亡くなったことによって効力が生じます。
それなら、夫婦の意思を一枚の遺言書にまとめるより、
それぞれが自分の遺言を作る方が自然に見えました。
そこから、
連名の遺言を認めると、
二人が同時に亡くならない限り扱いに困るのではないか?
とも考えました。
そのため、
(イ)と(ウ)の組合せを選び、正解しました。
なぜ止まれたか
今回止まれたのは、
遺言は、遺言者一人ひとりの意思として作るものではないか?
と考えたからです。
夫婦であっても、
財産の内容や残したい相手、
遺言を変更したくなる時期は同じとは限りません。
二人の遺言を一枚の証書にまとめると、
一方だけが内容を変えたり、撤回したりするときに、
もう一方の遺言との関係が問題になります。
そのため、遺言はそれぞれが独立して作る必要があります。
戻り先
迷ったら、
「その遺言は、一人ひとりの独立した意思として作られているか?」
に戻ります。
※戻り先は、ご自身が印象に残った言葉に置き換えても使えます。
制度確認
民法では、
二人以上の者が同じ証書によって遺言をすることを認めていません。
これを共同遺言の禁止といいます。
遺言は、遺言者本人の最終的な意思を示すものです。
また、一度作った後でも、
遺言者は自分の意思で内容を変更したり、撤回したりできます。
二人の遺言を一枚の証書にまとめると、
それぞれの意思が互いに影響し、
一方だけが自由に変更・撤回することが難しくなりかねません。
そのため、夫婦であっても、
遺言は一人ずつ別の証書で作る必要があります。
自筆証書遺言については、
カーボン紙を用いて複写したという理由だけで、
自書の要件を満たさないとはされません。
遺言者本人が筆記して複写したものであれば、
カーボン紙を使った方法でも自書と認められることがあります。