令和5年 第34問 行政書士
損益相殺に関する問題です。
選択肢4では、
著しく高利の貸付けを行う、いわゆるヤミ金融業者が、
貸金の名目で借主に金銭を交付した場合について書かれていました。
その貸付けによって借主が受けた利益は、
ヤミ金融業者に対する損害賠償額から控除されると書いてあります。
ここに違和感がありました。
ヤミ金融業者が違法な高金利で金を貸し、
その行為によって借主に損害を与えている。
それなのに、最初に渡した金を利益として扱い、
ヤミ金融業者が支払う損害賠償を減らしてよいのか。
違法な貸付けによって渡した金を、
今度はヤミ金融業者に有利な材料として使うのは違うように感じました。
損害賠償額を考えるときも、
最初に渡した金を当然に差し引くのではなく、
違法行為全体について責任を負わせる形になるのではないか。
そう考えました。
その結果、
反倫理的な行為で渡した金を、損害賠償の減額に使うのはおかしい
という感覚から、選択肢4を選びました。
結果として、これが正解でした。
なぜ止まれたか
今回止まれたのは、
被害者が金を受け取っているという事実だけで、加害者側に有利な利益として扱ってよいのか?
と考えたからです。
通常であれば、
損害を受ける一方で利益も得ている場合、
その利益を損害額から差し引くことがあります。
同じ原因から損害と利益の両方が生じているなら、
損害だけを請求するのは調整が必要になるからです。
ただし、どのような利益でも控除されるわけではありません。
今回の貸付けは、
著しく高利で行われた反倫理的な行為の一部です。
貸金という形を取っていても、
その金銭の交付自体が違法行為の手段と評価される場合があります。
そのような金まで借主の利益として扱い、
ヤミ金融業者の損害賠償額を減らすと、
違法行為を行った側に金銭的な利益を残すことになります。
私はそこまで制度的に整理できていたわけではありませんが、
これは加害者側に都合がよすぎるのではないか?
という部分が目に入り、止まりました。
今回は、制度を正確に再現したというより、
違法行為をした側をどこまで保護するのかという違和感が、
正解の方向と一致しました。
戻り先
迷ったら、
「違法行為のために渡した金を、加害者側に有利な利益として差し引いてよいのか?」
に戻ります。
※戻り先は、ご自身が印象に残った言葉に置き換えても使えます。
※戻り先は、ご自身が印象に残った言葉に置き換えても使えます。
制度確認
損益相殺とは、
同じ原因によって損害と利益が生じた場合に、
その利益を損害賠償額から差し引く考え方です。
ただし、どのような利益でも控除されるわけではありません。
著しく高利の貸付けが、
貸金に名を借りた反倫理的な不法行為と評価される場合、
ヤミ金融業者が交付した元本は不法原因給付に当たります。
そのため、ヤミ金融業者は元本の返還を求めることができず、
その元本を借主の利益として、
損害賠償額から差し引くことも認められません。